CAPA(是正処置と予防処置) により、企業は不具合の厳密な調査を計画・実施し、根本原因を発見して部品や製造プロセスに対する改善策を実行できます。
本ページでは、CAPA の概要・重要な理由・仕組み・実行方法を説明します。
1.CAPA とは/是正処置と予防処置の違い
単に是正処置とも呼ばれる CAPA(是正処置と予防処置)は、製品の不適合や望ましくないシナリオの原因を排除する事を目的とした継続的な改善プロセスです。
是正処置と予防処置の最も分かり易い違いは、事後のプロセスか 事前のプロセスか です。
「是正処置」は 主に監査や苦情(Complaint)、或いはVOC(市場のユーザーからの声)等で明らかになった問題に対応して、緊急の問題の解決と対策(Closing)に取り組む事です。
「予防処置」は 上記発生した問題を始め、その他のリスク評価やトレンド分析で明らかになった問題に対して、その発生を防止しリスクを低減する事です。 何れも品質とリスク管理システムに欠かせない要素であり、企業は高い基準を保ちながら混乱を最小限に抑える事ができます。
2.CAPA が重要な理由
是正処置はプロセスの半分にすぎず、問題が起こらない様にするのは予防処置の役目です。
CAPA では処置の履歴が残るため、関係者は予防策を取り、変更通知を自動的に生成できます。
品質に焦点を当てて改善策を継続的に取り入れ、当初の問題に対応する事で、企業は製品の不具合が再発するリスクを事前に低減できます。
CAPA のワークフローを標準化する事で、既存の問題を是正して品質と規制遵守を改善する手順を確実に開始・評価・割り当て・監視・レビュー・承認ができる様になります。
3.是正処置と予防処置を実行する理由
現場で製品や設備に不具合が生じた場合、重要なのは問題をできるだけ早く診断して解決する事です。そうする事で、次のような悪影響を軽減できます。
- 人への危害
- コストが掛かるダウンタイムの発生
- 欠陥製品の売買
- 政府による規制や法律により科される、不具合に対する罰則
是正処置と予防処置を実行する事で、企業は次のようなメリットを得られます。
- 改善プロセスが構造化され、測定可能になる
- 過去の設計で得られた教訓を予防処置に盛り込む事ができる
- 規制の厳しい業界で遵守を確保できる
様々な業界の企業がこのプロセスを品質管理プログラムに盛り込み、製品の品質強化に取り組んでます。
実際、製薬業界や医療機器業界において、CAPAは法的にも企業の運営にも不可欠とみなされています。
4.CAPA のプロセス
CAPA のプロセスは、必要な製品関連の情報の収集と分析、製品と品質に関する問題の特定と調査、適切かつ効果的な是正処置と予防処置の実行による再発防止からなります。
デジタル・コネクティッド・エンタープライズが登場する前は、企業の CAPA 策定プロセスには課題が多く、当初の問題を悪化させる場合もありました。
データがサイロ化しているため、必要な情報がどこにあるか分かりません。
プロセスもきちんと定まっておらず、企業は次のような状況に苦しんでいました。
- 事前的な対策よりも事後的な対応に終始してしまう
- 根本原因がよく分からない
- 部門間の連携が欠如
現在では、関係者は事前定義済みかつ構成可能なワークフローと部品表 (BOM)・部品・ドキュメントを統合して、品質関連の全ての情報を紐付けています。
複雑な CAPA から統合レポート、有効性の監視まで、様々な個別の行動が紐付けられ可視性が高まった事で、企業は潜在的な問題に関する知見を直接かつ正確に得られる様になりました。
5.CAPA の実行方法
不適合、顧客からのクレーム、偏差への対応は、不具合の是正における重要な要素です。
現在の企業は、このプロセスをデジタル・コネクティッド・エンタープライズで強化して、CAPA をリアルタイムに管理し、関係者が効果的かつ正確な処置を取る事ができるようにしています。
幾つかPLM ソフトウェアを使用すれば、企業はサイロ化した情報をデジタルで繋ぎ、是正処置と予防処置にデータを取り入れる事ができます。そうする事で、プロセス全体の透明性と品質が合理的な方法で確保されます。
CAPA の原則は、問題の特定、調査、対応が必要なあらゆる場面に適用できます。
品質、安全、規制遵守、プロセス改善など、分野は問いません。
CAPA の原則は汎用性に優れ、ヘルスケア・製薬・食品・飲料・製造・IT・ハイテク・ユーティリティなど様々な業界で事業を展開する企業にとって特に価値があります。
6.まとめ
CAPA は、企業が既存の問題に対応して再発を事前に防止するための重要なフレームワークで、包括的なアプローチで品質管理と継続的な改善を実現します。
様々な業界に適用できる汎用性を持ち、企業は問題を効果的に特定・調査し、対応できる様になります。