会社員時代のある日のこと。 上司が部下に「今あまり時間がないから簡単に説明してくれる?」と言ったところ、その社員はこう答えました:
「私の説明(話)は30分かかります」
きっとその人は、背景や経緯からしっかり説明して納得のいく提案をしたかったのでしょう。
しかし、もしその場で臨機応変に要点を伝えられないとしたら、それはどうでしょう?
「要点を簡潔に伝える力」は、現代のビジネスシーンで非常に重要なスキルです。
1. 起承転結を意識した説明のスキル
説明やプレゼンの際には、まず起承転結を意識しましょう。
この構成は、どんな時間枠にも対応できる万能の枠組みです。
- 起: 話の切っ掛けや目的(「何を話すのか?」)
- 承: 話の背景や経緯、状況(「なぜ話すのか?」)
- 転: 問題や提案の内容、解決策(「どうしたいのか?」)
- 結: 要点をまとめて結論を述べる(「何を実現したいのか?」)
これらを押さえれば、話の軸がぶれることはありません。
2. 要約のためのノウハウ
短い時間で話す際には、「目的」「背景」「内容」「結論」の4つに整理しておくと便利です。
時間制約に応じて、どこを省略すべきかを事前に考えておく事がポイントです。
極端を言えば、一言で言えば何だろう?という事です。
- 目的: 何故この話をするのか?(省略厳禁)
- 背景: 話の全体像や前提条件(状況により詳細度を調整)
- 内容: 主張や提案内容(必要最低限の要点に絞る)
- 結論: 最終的に何を伝えたいか?(絶対に省略しない)
例えば、1分以内で要約する必要がある場合、背景は一言で簡潔に済ませ、目的と結論を最優先で伝える様に出来ます。
3. 時間制限時の具体的なアプローチ
- 30秒の場合: 「目的」と「結論」を簡潔に話す。背景や詳細は省略。
- 例:「新製品でプリント不良の市場クレームが多発しており、対応が急務です。 それで品質対策本部を編成したいと思います」
- 1分の場合: 「目的」「背景」「結論」を含めるが、内容の詳細は後回しにする。
- 例:「新製品でプリント不良の市場クレームが多発しており、対応策が急務な状況です。 それで開発部・品質部・サービス部からなる品質対策本部を編成して、原因の特定と共に 初動対策を検討したいと思います」
- 5分以上の場合: 詳細な「内容」を盛り込みつつ話が長くなり過ぎない様にポイントを絞る。
- 例:「先月発売開始した新製品で、プリント不良と紙詰まりの市場クレームが増えています。特に北部で増えており、原因の特定と初動対策が必要な状況です。
それで急遽、開発部・品質部・サービス部からなる品質対策本部を編成します。
そして製品の故障や設計不良なのか、環境の影響か、使い方の問題か、その原因の特定を先ずは行なって、初動対策を来週までに提案します」(具体的な提案1、提案2とか、、)。
- 例:「先月発売開始した新製品で、プリント不良と紙詰まりの市場クレームが増えています。特に北部で増えており、原因の特定と初動対策が必要な状況です。
4. 短縮できる人は、理解している人
私がチームリーダーをしていた頃、メンバーにはこう指導していました:
- 「10分で説明して!」と言われたら10分で話せるように!
- 「5分で説明して!」と言われたら5分で要点を纏められるように!
- 「1分で話して!」と言われたら1分で重要な点を伝えられるように!
- 「30秒で話して!」と言われたら、瞬時に本質を一言で言えるように!
このように、どんな状況でも適切な長さで説明できる準備をしておくべきです。
そして、それができる人こそ、本当にその内容を深く理解している人だと私は考えます。
5. 結論
時間に制約がある中での説明には、相応のスキルと準備が必要です。
「自分の話を簡潔に伝えられるか?」という視点を持つ事で、あなたの伝達力は確実に向上します。
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